メンタルヘルス 「新たな枠組み」批判

以前にIMC代表の千葉の書いた記事で、
厚生労働省の職場のメンタルヘルス対策の
「新たな枠組み」の批判を載せましたが、
(「新たな枠組み」導入は危険
http://d.hatena.ne.jp/yokito5656/20120128/1327725233
最近毎日新聞にも以下のような記事が出ました。


リスクと向き合う:メンタルヘルス検査義務化に批判
毎日新聞 2012年05月03日 09時52分(最終更新 05月03日 11時49分)
http://mainichi.jp/select/news/20120503k0000e040143000c.html

 自殺・うつ病対策の一環として、科学的な根拠の薄いメンタルヘルス
(心の健康)検査が職場で義務化されようとしている。厚生労働省
具体的な検査法を示して導入を目指すが、専門家からは「効果が確立されて
いない」と懸念の声が上がる。拙速にまとめられた政策が、医療現場の
混乱や労働者の不利益につながる恐れがある。
 労働安全衛生法改正案として昨年末、国会に提出された。
事業者に対し、通常の健康診断とは別に、メンタルヘルス不調者を
見つけるための検査を義務付ける内容だ。まだ実質審議に入っていない。
 厚労省は使用する検査票の標準例として「ひどく疲れた」「ゆううつだ」
など9項目の自覚症状を挙げ、労働者に4段階で自己評価させる方法を提示。
結果は本人の同意なしには事業者に知らせず、必要があれば医師による面接を
実施する。同省は「ストレスが高い人の早期発見につながる」と説明する。
ところが、川上憲人・東京大教授(精神保健学)は「ストレスが高い人が、
必ずしもうつ病のリスクが高いとは限らない。民間で使われる検査票で
うつ状態』と判断されても、実際にうつ病と診断されるのは5〜20%
程度」と指摘。9項目の検査票で、うつ病や自殺の予防につながったことを
示す研究もない。
 同省の試算では、面接を含めた1人当たりの検査費用は350円。対象は
約3000万人で、導入されれば事業者は計105億円の負担となる。
「効果が実証されていない仕組みに費用を投じれば無駄になる」と川上教授は
言う。
 一方、中村純・産業医科大教授(精神医学)は「検査の結果、機械的
精神科への受診が勧められれば医療機関に混乱が広がる」と懸念する。
精神疾患全般への理解が進まない中で導入されれば、労働者が職場で
排除的に扱われる恐れもあるとして「モデル事業でエビデンス(根拠)を
検証してからでも義務化は遅くない」と慎重な対応を主張する。
 自殺やうつ病は、日本経済の停滞が鮮明になった90年代後半から急増。
厚労省の政策立案は、こうした状況の改善を目指す長妻昭厚労相(当時)の
指示で始まった。企業の定期健診に精神疾患検査の導入を求めた長妻氏に対し、
省内のプロジェクトチームは10年5月、同氏の意向を反映した報告書を作成。
その後、専門家の検討会を設置し、約1カ月半(計6回)で検査の枠組みなど
をまとめた。
 その間、当時の菅内閣は「メンタルヘルス対策を実施する職場を20年まで
に100%にする」という目標を入れた新成長戦略を閣議決定している。
早期の取りまとめは政治主導の色も強く、検討会の委員の一人は「結論ありき
の拙速な印象だった」と振り返った。
 検査内容への批判について厚労省労働衛生課は「妥当性は審議会でも
合意を得た」と話している。


大手マスメディアがこの問題を批判的に取り上げたのは、
初めてではないでしょうか。
厚生労働省のまずは結論ありきの姿勢が問われています。


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