ゆったり働くためのシンポジウム終了

たくさんの方にご参加いただき、「職場のストレスはイヤ!ゆったり働くためのシンポジウム」が無事終了しました。
キャンペーンの最初を飾るにふさわしい、豪華な顔ぶれのシンポジウムであったと思います。
この「ゆったり働く」には、様々な意味をこめましたし、また参加者ひとりひとりによっても、いろんな意味がこめられることになったようです。
長時間労働の果てに亡くなった方、重病を患った方、メンタル不調に陥った方。
適度な労働時間で働きたい。
でも、それは単なる時間短縮ではだめなんです。
法律で長時間労働を禁止すれば、今度は労働密度が高まり、目の回るような忙しい働き方になるでしょう。
そうではなく、もっと人間らしい働き方を求めているのです。
ILOがディーセントワークという言葉を目標にあげていますが、私たちがテーマに選んだ「ゆったりと働く」はディーセントワークにあたるのかもしれません。
西谷敏氏はこれに「働きがいのある人間らしい仕事」という訳をつけました。(「人権としてのディーセントワーク」旬報社
適度な量というだけでなく、意欲を持って楽しく出来る仕事、残業をしなくても十分な収入が得られる仕事です。
そして職場は、いがみ合ったり、貶めあったりする場所ではなく、協力してお互いの能力の向上を図ったり、助け合って目標を実現させたり、信頼しあって働ける場所であってほしい。
それが「ゆったり」。
「ゆったり」を阻んでいるのはなんでしょうか。
仕事量、会社の方針、裁量の制限、能率主義、低所得、不安定な雇用形態…。
たくさんの過労死裁判をあつかってきた松丸弁護士の報告では、大企業の多くが長時間労働の協定の特別条項で過労死ラインを遥かに超える労働時間を是認しています。
そして、それを受け付けている厚生労働省も非難しています。
政府自体が過重労働を認めているのです。
全国過労死を考える家族の会会長で、ご遺族でもある寺西笑子さんは、このような企業を糾弾するために、厚労省に過労死を出した企業名を公表するよう求めています。
労働組合の立場で参加したよこはまシティユニオンの川本浩之さんは、100人規模の小さな組合でも、やる気になればこれだけの相談を受けて取り組みが出来る、大組合が意識を変えなければだめだと発言しました。
組合が取り組むことも「ゆったり」に近づく一歩です。
職場のモラル・ハラスメントをなくす会の長尾香織さんは、勤務先を相手に集団損害賠償訴訟をした経験を話されました。
弁護士の支援を得て、法的に争えた事例です。
過労死問題に取り組む生越弁護士は、個人の自衛のためのスキルを高めることもできると、タイムカードのない職場では自分で記録しておくことなどを紹介しました。
シンポジウムでは、もっと様々な話が出ましたが、ここですべてご紹介は出来ませんので、また別の機会に紹介したいと思います。
参加者には、非正規雇用の問題も解決しないとこの問題は解決しないと感想をくださった方もいます。
労働安全衛生の課題はたくさんあります。
その中でも、職場の過重労働・ストレスに限った取り組みですが、それでもその中にはさらに細かい課題が詰まっています。
しかし、今回集まっていただいた方々も、このテーマでつながっていけることが分かりました。
このキャンペーンがみなをつなげることが出来るようにしていくつもりです。
シンポジウムでは消化不良に終わった部分もありましたので、さらに取り組みを進めていきます。
シンポジウムにご協力くださいましたすべての方々、ご参加くださった方々、本当に感謝いたします。
この取り組みはまだまだ続きます。