サバイバー

今日は、Mさんの訴訟の打ち合わせでした。
Mさんとは気づけばもう、5年ほどのつきあい。
彼は、8年前に過重労働で死にかけました。
大学卒業後、建設会社に就職し、現場監督として働きましたが、仕事は昼間現場で働いた後、事務所に戻ってデスクワークをするハードなものでした。
また、社長からのパワーハラスメントコンプライアンスに反するような業務命令もあり、Mさんは相当なストレスにさらされることになりました。
解雇されるまでの最後の半年間、平均しても時間外労働は月170時間という考えられないほどの量でした。
Mさんの身体はくたくたで、解雇されてほっとしました。
翌年現場でのアルバイトを始めましたが、まもなく体調不良となり、肺炎で入院したところ、心筋梗塞を起こしていることが分かりました。
そのとき、Mさんは26歳。
心筋梗塞を起こした原因は、以前の過重労働しか考えられず、労災を請求ましたが、離職後1年たっており因果関係が認められませんでした。
審査請求、再審査請求と行政手続きでは認められず、行政訴訟を提訴した後に、やっと、仕事をやめる前に心筋梗塞を起こしていたと認められ、原処分庁が取り消し処分をして、労災保険の補償が支給されました。
現在は、過重労働をさせた建設会社相手に損害賠償請求訴訟を争っています。
Mさんのお母さんは、「あのとき辞めさせられていなければ、この子は死んでいたかもしれない」と言いました。
Mさんは心臓の手術を受け助かりましたが、心臓の障害のため今後はスポーツなど運動はできません。
社長のパワハラも我慢して勤勉に働いた結果がこれです。
このように月平均170時間の時間外労働というような明らかな過重があれば、会社は刑事罰を受けるべきではないでしょうか?
それが、民事損害賠償請求という形でしか、会社の責任を追及することができません。
Mさんに対して責任をとろうとしない会社に対して、本当に強い怒りを感じます。
Mさんのようなサバイバー、不幸にも亡くなってしまった方の遺族。
そのような体験に傷ついたけれど、これからのために、がんばっている人たちがいます。
7月16日のシンポジウムには、そのような当事者やまわりで支援する人たちが集まります。
ぜひ、会場へ足をお運びください。
詳しくは、以下。
http://d.hatena.ne.jp/yokito5656/20110622/