メンタルヘルス対策は防止策を第一に

東芝で過重労働によりうつ病を発症したケースの民事損賠訴訟で
最高裁が本人の過失なしとの判断を出しました。


社員の過失で減額、認めず 解雇無効の賠償金
2014年03月24日 共同通信

長時間労働うつ病となり東芝を解雇された女性が原告となった訴訟の上告審判決で
最高裁第2小法廷は24日、解雇無効が確定した女性への賠償について、
「女性側の過失を理由に減額すべきではない」と判断した。
二審東京高裁判決は、神経科への通院や病名を早く申告していれば、
会社が悪化を防ぐ措置をとることができたなどとして、賠償額を2割減らしていた。
最高裁はこの判決を破棄し、あらためて賠償額を算定するため審理を高裁に差し戻した。
判決で鬼丸(おにまる)かおる裁判長は「積極的な申告がなくても、
会社は労働者の心身の健康に配慮する必要がある」とした上で、
今回のケースでは女性が体調不良や業務の軽減を繰り返し申し出ており、
会社が悪化を防ぐことができたと指摘。減額は認められないと判断した。
判決によると、原告の重光由美さん(47)=埼玉県深谷市=は、地元の東芝工場で
液晶生産ラインの開発などを担当。2001年4月にうつ病と診断され10月から欠勤した。
会社は04年9月に解雇した。
重光さんは判決後の記者会見で「私の過失を安易に認めた高裁判決が否定され、
大変うれしく思う」と話した。
長時間労働と病気の因果関係を認め、解雇を無効とする司法判断は二審で確定し、
上告審の争点は、重光さんの過失分を賠償額から差し引くかどうかに限られていた。


重光さんは会社の健康診断や本人申出の医師面談で体調不良を訴えていましたが、
業務軽減などの措置が取られていませんでした。
会社側の対応責任を問うすばらしい判断だと思います。
本人が精神疾患を会社に申告しなかったという理由で
過失相殺した判断を間違いとし高裁に差し戻しました。
高裁で改めてこの点について判断されることになります。

今、メンタル不調をチェックし、労働者本人の申出によって
医師面談を受けさせるということが安全衛生法を改正案が国会に出されています。
重光さんは不眠などの体調不良を伝えていても
病名をはっきり伝えていないと高裁では過失相殺されたのです。
必要なのは労働者のメンタルチェック制度ではなく
その前に、長時間労働や1人に業務が集中することがないよう
過重労働やストレス対策など防止を図ることです。
今回の安全衛生法改正案に対して、そういった声が多く寄せられましたが
厚生労働省はメンタルチェックを推し進めるだけで
防止策についてはとうとう何も盛り込みませんでした。
残念なことです。


参考までに重光さん支援のHPは以下
http://homepage2.nifty.com/tsbrousai/