体罰は絶対上位者からの暴力

体罰を受けた高校生の自殺が注目を集めています。
たいへん痛ましい事件です。
体罰がいけないのは当然のことです。

朝日新聞のインタビューで野球選手だった桑田氏が
やはり体罰は必要ないと、
ー「絶対に仕返しをされない」という上下関係の構図で起きるのが体罰です。
監督が采配ミスをして選手に殴られますか?ー
と話しています。
また、
ー指導者が怠けている証拠でもあります。
暴力で脅して子どもを思い通りに動かそうとするのは、最も安易な方法。ー
とも。

朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/national/update/0111/TKY201301110314.html

問題の高校では、以前にも体罰の指摘があり、
見直す機会はありました。
しかし表面的な調査だけで、実態さえ把握できていませんでした。
尊い命の犠牲があって、初めて実態把握に動いています。
体罰はいけない」という認識を前提に対処を取ろうとしています。
しかし何が体罰か、という点についてはきちんと認識していなかったように思います。
当該監督への聞き取りで、
指導だったのか、体罰だったのか
と確認を行っていますが、
それは指導という認識のもとでは暴力もありと考えていいということでしょうか?
桑田氏の指摘は重要です。
体罰は上位者から下位者への暴力なのです。
今後、教育関係者は体罰には敏感になるでしょう。
しかし、とにかく暴力を禁止する、というだけでは解決にはなりません。
身体的暴力のほかにも、精神的暴力が使われる場合もあるからです。
言葉の暴力をはじめ、練習内容での虐待も起こりえます。
教育関係者は指導のあり方そのものを見直すべきでしょう。
教育のプロであるはずの方々に、このようなことを要望しなければならない
情けない限りです。
どうか罰ではなく、子どもたちが積極的に行動したくなるような指導を
お願いしたいです。

さて、職場での指導はどうでしょうか?
労働者も、絶対に仕返しをされないという上下関係の構図のもとに
あらゆる形態の暴力を受けることが多くあります。
上下関係の他に、雇用や給与をたてにとられて、
過重労働やパワーハラスメントにさらされています。
雇用主側の多くは、パワハラ対策のために部下の指導がやりにくくなる
と考えます。
しかし、パワーハラスメントと指導とはまったく違います。
指導する立場の者が、暴力や脅しを使わずに、
適切な指導力を身につけることがパワハラ予防に有効なのではないでしょうか。