生活保護報道について

先日、高収入の芸能人の親族が何人も生活保護を受けていたという話が
取りざたされておりましたが、朝日新聞でも結構大きな扱いをしていて驚きました。
さらに、ある自民党議員が追求してうんぬんと…。
以前、大阪市で中国残留孤児の家族が生活保護を受けているケースも
問題視されました。
生活保護について報道で取り上げられるのは
保護を受けられず死亡したケースか不正受給と思われるケースのどちらかですね。

私が気になるのは、このようなケースが大きく報じられ、
バラエティ番組で面白おかしく取り上げられることで、
生活保護を受けている人、すべてを軽蔑するような風潮が
広がることです。
だから無責任な報道に腹が立ちます。
私が働く労働安全衛生センターに相談に来る方の中には、
労災補償が受けられず、かといって
もとどおり働けるほど健康を取り戻すことができず
本当に困って、最後の手段として
生活保護を受けることになる方もいます。
特に、ハラスメントの被害からメンタルヘルスを損なわれた方の場合、
労災認定は本当に難しく、
ご本人もまさか自分が生保をもらうことになるなんて
と思いながらも頼るしかなくなります。
元の身体に戻してほしい、もとどおり働けさえすれば!
という彼らの悲痛な思いを何度もきかされました。
生活保護は、ほうんとうにどうにもならない人も
最後の手段なんです。

生活保護を受ける人が増えているというのなら、
それはそこに至るまでのセイフティネットがないか
きちんと機能していないからです。
例えば、職場のハラスメントのケースの場合、
職場にそれに早期に対処できる機能、
上司や人事部、労働組合がなっていないのです。
早期に健康問題を相談できるところがない。
発症しても労災保険の認定基準が厳しすぎて給付を受けられない。
傷病手当金をもらいきったらほかに生活保障がない。
治療について病院での投薬治療以外の手段がほとんどなく、
低額でカウンセラーなど回復支援がうけられない。
その後の職場復帰についても使用者まかせで支援がない。
などなどなど。
生活保護は、健康を害した労働者のほかに、
母子家庭、高齢者、障害者なども受けられると思いますが、
母子家庭は、子どもを受け入れてくれる保育園などそのほか子育ての支援と
生活できる給与を得られる仕事があれば自立できるし、
高齢者も年金が十分で、身体が不自由になっても十分な介護が受けられる
制度があれば生活保護に行かなくてもいいわけです。

そんな制度の確立は、もちろん国の責任です。
某議員さんは、そちらの追及をしてほしいです。
躓いたとき、安心して受けられて早期に自立できるような支援を。
次にわたしたちのできることはなんでしょうか?
職場でもできることはあるでしょう。
職場がお互い思いやって人間らしく働ける職場であれば、
危機に陥る人は少ないのではないでしょうか?
子どもの病気などで度々休むお母さんでも受け入れられるような職場、
障害のある人でも能力を発揮できるような職場、
そんな職場が増えてほしいです。
ゆったり働こうキャンペーンは必要ですよね。
ただいろんな人を優しく受け入れろということではないです。
疑問に思うことはきちんと話せる職場でなければ、
不満が募って破綻するので、
まずは意見を言ったり話し合いができる職場にすることから。

理想ですけど、あきらめたくはないです。