リアル労働基準監督官もガンバレ!

労働基準監督官を主人公にしたドラマ「ダンダリン」が先週で最終回となりました。
終盤、やはりドラマらしく、主人公の過去が明かされたり陥れられたりという
ドラマティックな展開後、最後は一気に解決、社長の解任のおまけつきでした。
一方、現実の労働行政はどうでしょうか。
昨日、こんなニュースが報道されました。


ブラック企業調査>労基法違反82%
厚生労働省は17日、事前の電話相談や情報などを基に「問題がある」と判断した全国5111の事業所を
重点的に抜き出して実施した過重労働などの監督結果を公表した。全体の82%にあたる4189事業所で
長時間労働や残業代不払いなどの労働基準法違反があったほか、過労死のラインとされる月80時間以上の
残業をさせていた事業所も1230(24.1%)に上った。こうした重点監督は初めて。過酷な働き方で
若者らを使い潰す「ブラック企業」の実態が浮かんだ。
それによると、残業させるための協定を結んでいなかったり、協定を大幅に超える長時間労働をさせたりする
など違法な時間外労働が2241事業所(43.8%)であった。不払い残業は1221事業所(23.9%)、
過重労働に対して健康障害防止措置を実施していないところも71事業所(1.4%)あった。
業種別でみると、労働時間の違反割合が最も高かったのは、運輸交通業で56.8%。次いで接客娯楽業が
52%だった。不払い残業では、接客娯楽業と建設業がともに37%で最多だった。
また、ブラック企業の特徴と言われる3年以内の離職率が高い事業所122のうち、86.1%にあたる
105事業所で何らかの法令違反があった。
違法行為が発覚し是正指導を行ったケースでは、正社員に月84時間、パート労働者に月170時間の残業を
させていた事業所もあった。別の事業所では、正社員の7割が係長以上の「名ばかり管理職」になっており、
管理監督者だとして残業代が支払われていなかった。その半数は20代だった。
厚労省は是正指導に従わない場合は送検するとしている。田村憲久厚労相は「相談、監督体制を強化し、
若者が安心して働ける環境を整え、法令違反には厳しく対応する」と話した。【東海林智】
毎日新聞 12月17日(火)12時1分配信


厚生労働省は9月に「若者の使い捨て」企業の電話相談を行ったところでした。
そこに相談のあった企業を含む約5000社を調査したようです。
企業の数に比べて人数がたいへん少ない労働基準監督官ですが
なんとかがんばっていただいたようで、上記のような成果がありました。

詳しい報道発表資料は厚生労働省のHPにアップされています。

若者の「使い捨て」が疑われる企業などへの重点監督の実施状況
−重点監督を実施した約8割の事業所に法令違反を指摘−
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000032425.html

また、管轄内の分を発表した労働局もあります。

大阪労働局
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H25/kantoku/251216.pdf

静岡労働局
http://shizuoka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0109/1768/20131217144633.pdf

愛媛労働局も記者発表をしたようなのですが、HPには見当たりませんでした。
全国発表の事例を読んでみると、なかなか面白いです。
主な問題点は労働時間管理と残業代未払いです。
事例の中に社員の7割が管理職だったというのもありました。
こういう違反は、当事者が申告しないと、しかも監督署でかなりがんばらないと
なかなか調査すらしてもらえないような内容です。
今回是正されて良かったです。
今回、違反が見つかった企業は、やはり氷山の一角なのでしょうね。

さて、私たち労働者も監督署頼みばかりでなく、
自分たちの手で職場を変えていけるようになにかしたいものですね。